CNS-FACE家族アセスメントツールの関連文献(要旨付き)

 

  1. 山勢博彰、山勢善江、他11名:重症・救急患者家族アセスメントのためのニード&コーピングスケールの開発 −暫定版CNS-FACEの作成過程とニードの構成概念の評価−、日本救急看護学会雑誌、3(2)、23-34、2002.(原著)
    <要旨>本研究は、日本で標準的に活用できる重症・救急患者家族のアセスメントツールとして、そのニードとコーピングを測定するCNS-FACEの開発を目的に実施しているものである。本稿は、CNS-FACE開発の1ステップである、暫定版の作成を目的として行った研究と、その結果について述べたものであり、完成版CNS-FACEに向けた研究プロセスを紹介した論文でもある。CNS-FACEの理論的概念には、危機理論とストレス・コーピング理論を採用し、測定の構成概念には、ニードの枠組みとしてCCFNIを、コーピングの枠組みとしてWays of Copingスケールを用いた。方法は、研究メンバーらを対象にした家族の行動に関する調査、ニードの構成概念に従った行動評定項目の選定と整理、内容的妥当性の検討、パイロットテストなどによって暫定版を作成した。また、52名の患者の家族83名を対象に、暫定版による調査を実施し、ネットワークを利用したデータ収集と分析を経て、その評価を行った。その結果、ニードの構成概念に妥当性を確認できる暫定版を作成することができた。さらに、完成版に向けた今後の課題と方法論について言及した。
  2. 山勢博彰、山勢善江、他11名:完成版CNS-FACEの信頼性と妥当性の検証、日本救急看護学会雑誌、4(1)、90、2002.(学会抄録)
    <要旨>文献7を参照。
  3. 村上美乃枝、福士真由美、他6名:自殺企図患者を持つ家族のニード −CNS-FACEを活用して−、日本救急看護学会雑誌、4(1)、142、2002.(学会抄録)
  4. 山勢博彰、山勢善江、他11名:CNS-FACEによる重症患者家族のニーズとコーピングの分析、日本集中治療医学会雑誌、10(Supplement)、252、2003.(学会抄録)
    <要旨>クリティカルケアにおける家族看護では、家族ニーズのアセスメントが重要である。また、家族のコーピング状況を知ることによって家族ケアの方向性を把握することも必要である。今回、我々が開発した重症・救急患者家族のアセスメントツールであるCNS-FACEを用い、家族のニーズとコーピングを分析、検討した。対象と方法は、8ヶ所の病院の救命救急センター・ICUに入院した患者132名の家族150名に対し、基本的に入院から退院まで1日1回、CNS-FACEによって家族のニーズとコーピングを測定した。その結果、全対象家族の延べ793日分のニーズは、社会的サポート1.7±0.5(mean±SD)、情緒的サポート1.3±0.4、安楽安寧1.1±0.2、情報2.0±0.7、接近2.2±0.8、保証1.9±0.7であった。コーピングは、情動的1.2±0.3、問題志向的1.8±0.4であった。入院から退院までの推移を見ると、情緒的サポートと情報、接近には特徴的な変化があった。コーピングでは、入院当初は情動的コーピングが高いが、経過するにつれ問題志向的コーピングが高くなっていた。(文献9も参照)
  5. 門坂千代、斉藤知子、他4名:家族用クリティカルパス導入による家族の心理変化、日本集中治療医学会雑誌、10(Supplement)、264、2003.(学会抄録)
  6. 山勢博彰、山勢善江、他11名:重症・救急患者家族アセスメントツールの開発 −完成版CNS-FACEの作成プロセス−、日本集中治療医学会雑誌、10(1)、9-16、2003.(原著)
    <要旨>本研究は、日本で標準的に活用できる重症・救急患者家族のアセスメントツールであるCNS-FACE開発プロジェクトの一環として実施したものである。研究目的は、暫定版CNS-FACEを基に、完成版のCNS-FACEを作成することである。方法は、9つの大学附属病院および公立病院の救命救急センター、ICU・CCUなどに入院した248名の患者の家族274名を対象に、53項目の行動評定尺度で構成される暫定版CNS-FACEを用いて収集したデータを分析した。分析手法は、各項目に対する反応分布の評価、ニードとコーピングの探索的因子分析、multitrait scaling analysis、G-P分析、確認的因子分析をおこなった。これらにより、ニードとコーピングに構成概念妥当性がある46項目の行動評定尺度で構成される完成版CNS-FACEを作成した。
  7. 山勢博彰、山勢善江、他11名:完成版CNS-FACEの信頼性と妥当性の検証、日本救急看護学会雑誌、4(2)、29-38、2003.(原著)(文献2の原著です)
    <要旨>【目的】本研究は重症・救急患者家族のニードとコーピングをアセスメントするツールであるCNS-FACEの完成版について、信頼性と妥当性を検証することを目的に実施した。【対象と方法】8ヶ所の病院の救命救急センター、ICUに入院した患者132名の家族150名に対し、基本的に入院から退院まで1日1回、完成版CNS-FACEによる行動評定をおこなった。信頼性の検討は、クロンバックα係数による内的整合性を分析した。また、30件の同一対象について2名の看護師によって行動評定をし、相関係数を算出して観察者間の一致度を検討した。妥当性の検討は、確認的因子分析とmultitrait scaling分析による構成概念妥当性を分析した。【結果】150名の家族より、延べ793日(件)分のデータを収集した。クロンバックα係数は、社会的サポートのニードが0.62、安楽・安寧のニードが0.61、その他のニードとコーピングは、0.7〜0.8以上で内的整合性が認められた。観察者間の一致度は、概ね0.4以上でかなりの相関が認められた。因子分析では、主因子法によるバリマックス回転によってニードの6因子とコーピングの2因子を抽出した。いずれの因子構造も理論的構成概念と一致していた。multitrait scaling分析では、項目とその項目の属する下位尺度得点との相関係数を算出し収束的妥当性を検討した結果、社会的サポートのニードと安楽・安寧のニードで相関係数0.4以下の項目が認められたが、それ以外の項目では0.6〜0.7以上の高い相関があった。また、この相関係数と別の下位尺度得点との相関係数を検討した結果、全ての項目で2SE(標準誤差)を基準に差があり、弁別的妥当性があることが確認できた。
  8. 山勢博彰:重症・救急患者家族のニードとコーピングに関する因果構造の検討−CNS-FACEの測定による構造方程式モデリングの試み−、日本看護研究学会雑誌、26(3)、67-71、2003.(学会抄録)
    <要旨>重症・救急患者家族の抱くニーズとコーピングについて、それらがどのような因果構造を持っているのかを、構造方程式モデリングによって検討した。211名の家族の延べ1305日分のデータを分析した結果、情報、接近、保証のニードを観測変数とした潜在変数(患者との相互関係上のニード)と、情緒的サポート、社会的サポート、安楽・安寧のニードを観測変数とした潜在変数(自己の安定性を維持するニード)を設定し、情動的コーピングと問題志向的コーピングとの構造方程式を作成した。主要パラメーターのうち、患者との相互関係上のニードは問題志向的コーピングに0.91(標準化係数)、自己の安定性を維持するニードは情動的コーピングに0.93(同)の高い影響を与えていた。
  9. 山勢博彰、山勢善江、他11名:CNS-FACEによる重症・救急患者家族のニーズとコーピングの分析(文献4の原著、公表時期は未定)
    <要旨>本研究は、クリティカルケアにおける家族のニーズとコーピングの特徴を明らかにするために、CNS-FACEを用いて分析をおこなったものである。方法は、8つの病院の救命救急センターとICUに入院した患者132名の家族150名に対し、入院から退院までCNS-FACEによる測定を実施した。その結果、延べ793日分のデータが得られた。入院中最も高いニードは接近で、最も低いのは安楽・安寧であった。コーピングは、情動的より問題志向的コーピングが高かった。日毎の推移は、情報、接近、保証のニードと問題志向的コーピングは上昇し、情動的コーピングは下降する傾向があった。患者の年齢と家族関係については、患者が19歳以下の親は、情緒的サポート、接近のニード、情動的コーピングが高く、60歳以上の患者の配偶者と子供は、情報と保証のニードが高いという傾向があった。(文献4も参照)
  10. 山勢博彰:CNS-FACEによる家族ニーズとコーピング、日本看護学会特別講演・シンポジウム集録号、146-147、2004.(学会抄録)
    2003年兵庫で開催された第34回日本看護学会成人看護1のトークセッションで発表したものです。文献4の内容を基に、ニードとコーピングの推移に焦点を当てています。


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